新潟県北魚沼郡 須佐美晴さん

新潟県北魚沼郡 須佐美晴さん

須佐農場は新潟県北魚沼郡の入広瀬村にある。上越新幹線の浦佐で下車し、そこから約一時間ほど福島只見方面に入っていく。農地として立地に恵まれているとは言い難い。しかも土壌は赤土である。この土地で大根と人参を主に生産している。ずらっと並んだ玄米アミノ酸『大根』普通の栽培方法ではない。無肥料、無農薬、JASの認定も取得している。栽培面積は約3町歩である。

  須佐さんの経歴がまたおもしろいのである。生まれて育ったのがこの地、入広瀬村である。しかし、すぐに農業を継いだわけではない。最初は東京で板前になった。魚をさばいていたのである。これは親戚との縁で、頼まれた仕事から始まったのである。板前の仕事も実に楽しくやった。包丁さばきも一人前になった。そのまま板前を続けていれば、店の一軒や二軒は持てたかもしれない。

  しかし、長男であった為に家に戻り、家業である農業を継ぐ事になった。農業をするには肥料が必要と考えて、牛を飼う事になった。持ち前のバイタリティでどんどん牛を増やした。わずか2年〜3年で新潟県の西地区では一位になるほどの搾乳量になった。乳牛の酪農だけをやったのではない。肉牛もやった、和牛の育成。さらに元牛の生産もやった。すべてあわせると最盛時には数百頭にもなった。乳牛だけで百頭前後、元牛の育成は常に400〜500頭、とにかく凄い数字である。芝浦の枝肉市場や大阪の市場には頻繁に足を運んだ。肥料を作るつもりが、なんと20年も畜産業をやることになった。しかし、このときの体験が後に大きく物を言うのである。

 牛を扱うには観察カが一番である。何百頭いようとも、牛一頭ずつを見る観察カが必要なのである。例えば乳牛。乳牛の一番の問題は、乳房炎である。乳房炎になると乳牛という商品が出荷できなくなる。これが感染をする。大変な損害になる。これを防ぐために、いろいろな工夫をした。牛の畜舎を常にきれいにする。乳房炎になりやすい牛は搾乳後、必ず乳房を冷却する。たったこれだけでも毎日のことになると大変な労カなのである。

  さらに和牛にさしを入れるために工夫をした。ぼかしを作り与えたのである。単に配合飼料だけをやったのではない。えさを工夫したのである。ぼかしの醗酵飼料は消化吸収が良くて、脂肪を細かくする働きがある。当然いいサシが入り牛肉の価格は高くなる。

普通ではない農業をやる

畜産業では大成功した。しかし、人手も多く使っていたので、経費もかさんだ。頼りにしていた友人も他界してしまい、切替え時と考えて農業を始めることにした。畜産では休みが取れないのも理由ひとつだった。

 農業をやると言っても、畜産の時に体験したいろいろな工夫があった。普通の農業をやるつもりはまったくなかった。須佐さんが以前から注目している物質があった。ミネラルである。水とミネラルさえあれば作物は育つという予感があった。シンプルイズベストで農業をやってみようと思った。このイメージ通りに7年前から野菜作りを始めた。もちろん露地栽培である。しかも赤土の粘土層である。30cmも掘ればガンガンに硬い粘土層である。普通の人ならここで野菜を作ろうとは思わない。須佐さんにとっては、障害でも何でもなかった。荒地をトラクターで開墾し、3町歩の農地を作った。そして作物は見事に育った。

最初に須佐さんの作った大根を見て驚いた。いや、ド肝を抜かれたと言ったほうがいい。一本なんと10kgである。長さは70cm〜80cmもある。とにかく大きい。

  ほ場に案内されて行った。急勾配を登り、高台を切り開いて作った、ほ場だった。このほ場を見て、またビツクリである。大根の半分が地上に出ている。下が硬いために大根は上に伸びているのである。葉を見てまたビツクリ。根の大きさに比較して葉が小さい。しかし、葉肉は厚い。光合成がうまくいっている証である。これを見て頭の中がパニックになってしまった。どうしてこんなに大根が大きく生長するのか。病気にはならないのか。保存はどうするのか。

  須佐さんの農法はまさに非常識中の非常識である。これをすべて、独自のやり方で作り上げたという事も凄いことである。須佐さんによると、ミネラルと水をうまく使えば、それだけで完熟のすばらしい大根ができるというのである。
病気は、植物が強くて光合成がしっかりしていれば、被害になることはまず無いというのである。保存は畑が冷蔵庫なのである。霜が降りても雪が降っても問題ナシである。いかに強い大根かという事.である。

  大根の隣にある畑を見ると玉葱が植えてある。すでに降る雪の下になうするのかと聞いた。来年の春に収穫するのだというのである。えーである。玉葱が冬を越すなんて聞いたことがない。土壌には玄米アミノ酸のぼかしをふんだんにまぜてある。さわってみると暖かい。この玉葱は糖度10度以上になるという。驚きの玉葱である。同じ栽培方法で人参、ごぼう、白菜、サニーレタス、トマト、ナス、パプリカ、茶豆、アスパラ、長葱、などを作っている。ナスとトマトのなりものだけはミネラルの他に肥料を入れているそうである。今年は玄米アミノ酸ぼかしで作ってみようと考えている。

  須佐さんのほ場はさらに驚く事がある。赤土の硬い粘土質だけではない。ぺーハー4.5の強酸性なのである。にもかかわらず、石灰はまったく使わない。慣行農法をやっている人は何の話かチンプンカンプンでしようね。あまりにも常識とかけ離れている。この農法は須佐さんにしかできないものだろうか。他の人が真似をしても無理なのであろうか。須佐さんに聞いてみた。近所の人はどのように評価しているのか。見にも来ないというのである。不思議な事である。こんなにすばらしい農法があるのに注目もしない。たぶん意味がわからないのだと思う。そこで種明かしをしよう。須佐さんの農法は、非常識なようで理にかなっている。

  植物に一番必要なのは微生物の働きである。これをミネラルによって作り出している。さらに保肥カを高める為に、粘土鉱物のゼオライトをたくさん使っている。育苗期にたくさんの水をやっている。後は光合成による自然の働きにまかせるだけである。これだけで作物はできる。むずかしい事は何もいらない。マルチもしなければ消毒もしない。手間、ひまはほとんどかけずに収穫する。収穫されたものは硝酸塩が少なく安全である。糖度が高く、ミネラル分が多い。まさに求められている野菜である。


 生産に必要な三要素は、酸素と水と微生物であるということを証明した農法でもある。さらに関先生が常に口にしている土壌の保肥カは腐植(土壊有機物)と粘±鉱物であると証明した農法でもある。

 須佐さんの農法は今回だけでは伝えきれない。さらに詳しい報告をしたいと思う。露地栽培をしている人にとっては大変な参考になるだろうと思う。慣行栽培と比較して何が違うのか、なぜ違う結果になるのか。コスト的にはどうなのか。すべてにおいて参考になるのではないだろうか。

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